Atsu Hosaka


スコットハウエルがタイイングにおいて伝えたかった大きな要素。それは釣りにおいてアングラーを優位に立たせる「フィッシングの為のタイイング」。誰でもタイイングが可能で、様々なバリエーションが組めること。そして「オンリーワン」の要素を兼ね揃えたフライ達でした。数多くのフライが存在する中、万能なフライは存在しません。フィールド状況に合わせたフライを思考してこそ、実釣において結果を残していけるひとつのアイテムが生まれてきます。

各エリアのフィールドテスターが、結果を残してきたフライの要素を、スコットハウエル国内公認タイヤーであるAtsu Hosakaがご紹介します。

 

 

■総合的にフライを見つめ直してみる

フライの種類や色は、それこそ星の数ほど存在する。我々の考える「フライ」とは、人間の妄想や思考で考えられる範囲を、より魚にアピールできて、優位性が生じるものを、より多く取り入れることに尽きる。そう考えていく中で、各国々、河川の水中の中での虫や魚達の生活まで考えてみると面白い。つまり海外には有効な手段があり、また国内には国内の有効な手段が存在すると考えてみてはどうだろうか

 

■まずはオリジナルをしっかり学ぼう

長い歴史の中で、名タイヤーと呼ばれる方々が素晴らしいフライを考えてきた。そのような素晴らしいフライに、感謝と尊敬を持って、タイイングの基礎的なことを是非とも学んで欲しい。そうしていくうちに「こうしたらどうかな?」「こんな色も試したいな?」と様々なアイデアが浮かんでくると思う。先駆者へのリスペクト、同時に水辺の仲間達へのリスペクトは楽しい釣り場環境を守っていくことでも大事なことだ。

 

■オリジナルを越えようと考えてみる

オリジナルをしっかりタイイング出来るようになってはじめて「アレンジ」という言葉が頭の中をかすめる。色の変化や、形状の変化。そんなことを考えながら是非とも「何故このようにオリジナルタイヤーは巻いたのか?」を考えて見て欲しい。どうして硬い素材なのか?どうして柔らかい素材なのか?答えはオリジナルタイヤーのみが知る妄想を楽しんでみて欲しい。そして自分なりのエッセンスを加えて、「こうしたら食いつきがよくなるかな?」「こうしたら集魚効果があがるかな?」なんて気持ちでバイスに向ってみてはどうだろうか?きっとフィールドでそのフライをキャストする時のドキドキ感は、今までに増して、最高に楽しいことだと思う。

 

■アレンジはアレンジ オリジナルを考えてみよう

私自身、数々のスコットの国内チューニングバージョンのフライをタイイングする。しかし、これは私のオリジナルではない。アレンジフライなのだ。公認タイヤーとして、スコットとは異なったアプローチも持ち合わせているから、フライへの妄想する方向性も本人とは異なるのは当たり前。アレンジはアレンジ。しっかり分けて、自分なりのフライを考えてみるのも面白いと考える

 

■コマーシャルフライを見直す

日本ではフライフィッシャーの多くが、自らタイイングを行う。しかし先進国である北米では、コマーシャルフライ(店舗で販売されるフライ)が広く活用されている。これには多くの理由がある。例えば、河川によって優位性にたてるフライの大きさや色が様々な為、各プロショップでは「ご当地フライ」が存在するというわけである。世界的に見ても、日本は屈指の「タイイング大国」なのかもしれない。ここでお伝えしたかったことは、各河川でも同じだが、是非ともアングラーとの交流も含めて、地元のアングラーへの挨拶と平行して「どんなフライが釣れますか?」なんてことを聞いてもらうと話も弾むかと思う。同じ趣味を楽しむ仲間は、きっと優しい。嫌な顔をする人もいるかもしれない。きっと「秘密」のフライを持っているのかもしれないから、そんな時は、「見せれなかったらドライか沈めるかなんかでも」としっかり相手を嫌にしないような、心使いも大切かと思う。そんな時に有効なのが「事前情報」。本ウェブ内でも、量産型ではないコマーシャルフライを展開していくが、是非とも「何故このようなかたちになるのか?」または実際にスイムタンクなどで泳ぐ状況を見た上で、しっかりとした選考を行って欲しい。「ビジュアルで釣れるのは人」ではなく、実践的なフライを自分の目で選考していくことは、結果を出す近道かもしれない。

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■何よりもキャスティング 流し方

どんなに優位性に立てるフライを手に入れても、釣りで大事なことは「魚が食べるレンジにフライを通しているのか」に尽きる。これにはキャスティング、そして魚種によって異なる「トレースコース」が必要となる。ポイントの良し悪しも大事であるが、むしろ「釣れないポイント」で完璧なキャスティングや流し方で魚からのコンタクトを出せれば、これほど面白いこともないかもしれない。ポイントでは広い心で、譲り合い、仲間と自然にお邪魔するくらいの気持ちで楽しんで欲しい。キャスティングが出来たとしても、肝心な「流し方」が分からなければ、魚からのコンタクトも最大化できない。そんな時こそ、名手からのアドバイス、各エキスパートからのアドバイスを受けに、セミナーに参加することは大変有効だと思う。また、くれぐれも実釣で実績をしっかり残している方法論を学んで欲しい。

 

■万能なフライは存在しない

大きさ、色、形状。様々なフライが存在する中で、万能なフライは存在しません。このフライが絶対、ということもなければ、このフライじゃないと駄目だ、というものはひとつとして存在しないというのが本当だと思います。ただ、こんな釣り方で釣りたい、こんなシステムで魚をかけてみたい、といった個々の好みによってもパターンは様々です。是非とも、好き、嫌いということだけではなく、様々なフライ、システムを試してみて、自分なりの引出を増やしていって欲しいと思います。

 

■様々なことを試して、みんなで楽しもう

タイイングを通じて、キャスティングを通じて、様々なことを通じて、より多くの仲間達と楽しんで欲しい。「釣り」という素晴らしい共通の趣味の中で、方法論や手法など、異なったものも様々かと思う。しかし、偏った考えを持つことと、多方面で学習するもの、どちらが楽しいかを、今一度考えてみて欲しい。楽しみは沢山のほうがいいはず。そしてタイイングにおける引き出しも多いに越したことはない。自分を幸せにできるタイイングは、きっととなりの仲間を幸せにするエッセンスが含まれた魅惑のフライかもしれない。